成長期の腰の痛みで注意しないといけない疾患の一つに腰椎分離症があります。
子供さんはもちろん保護者や指導者の方がしっかりと理解してお子さんを守ってもらう必要がありますので一度目を通していただくと幸いです。
腰椎分離症とは
腰椎分離症とは腰椎の『椎弓の関節突起間部』という場所の疲労骨折です。
特に10代の発育期に発生しやすく日本では10人に1人は罹患しているのではないかといわれています。
成長期にスポーツを一生懸命行っている子供であればそこまで珍しい疾患でもないと言えます。
特に腰を反ったり捻る運動の繰り返しで起きやすく運動時の痛みが特徴的です。
早期発見、早期治療が重要な理由
腰椎分離症の治療は他の疲労骨折同様、運動中止が非常に重要となります。
分離症は椎弓の尾側(下)から頭側(上)にかけて骨折線が入っていきます。早期では尾側の骨折線のみですが進行すると骨折線が頭側まで至り、偽関節(骨折した部分が癒合せず骨と骨の間に骨組織が存在しない状態)になるリスクが高まります。
早期分離症と進行期分離症では運動の中止期間、骨癒合率(治る確率)も大きく異なります。
早期分離症の運動中止期間は1か月から3か月で比較的癒合率も高いのですが進行期であると3か月から6か月で更に骨癒合率も低くなってしまいます。
さて、偽関節(分離症が癒合しない)となればどのような問題が生じるのでしょうか・・・
偽関節となれば同じ骨の反対側、または上下の腰椎の分離症が新たに発症するリスクが高まります。
また、腰椎の後方の支持組織を欠くため椎間板や成長軟骨板、椎体終板などの負担が2~2.8倍になるとの報告もあり今後、継続する腰痛と付き合わないといけなくなってしまいます。
さらに腰椎の両側が偽関節となってしまうと分離すべり症という状態に移行しさらに腰痛のリスクが高くなってしまいます。
早期分離症の多くは運動時のみの痛みで生活に支障がないことがほとんどで、本人が症状を訴えなかったり周囲の大人が気づかないということがあります。
さらに、仮にレントゲンを撮ったとしても初期では異常所見がでることは少なく、早期分離症を見逃してしまうという場合もあります。
そのため下のチェックを参考にして腰椎分離症を早期発見をしてください。
分離症簡易チェック
腰椎分離症は先述した通り早期発見が重要です。
そのためにも次のチェック項目を参考にしてください。ひとつでも当てはまると要注意です!
小学生から高校生の間でスポーツをしている人は要チェックです!
もし、成長期でスポーツをしており、この項目に一つでも当てはまった場合、当院にご相談いただくか、医療機関への受診をお勧めをします。
当院での腰椎分離症患者への取り組み
当院では成長期腰椎分離症を早期発見するため、月1回、地元の中学生の野球チームに行きメディカルチェックを行っております。また、成長期のスポーツをしているお子さんをお持ちの患者さんに啓蒙活動をしております。
腰椎分離症が疑わしい患者さんに対しては連携病院にMRIの撮影をお願いし、早期発見を目指しています。
腰椎分離症の患者さんに対してはLIPUSという機械を用いて骨癒合を少しでも早める取り組みをしております。また腰椎分離症になった原因を修正するためピラティスなどの運動療法を用いて二度と分離症にならない、また、腰痛を起こさせないようリハビリをおこなっております。
ご質問、ご相談などお問い合わせはLINEでも承っております。
当院は少しでも分離症で悩む子供が減るよう祈っております。